前回登ったときは海の日を利用した3連休だったのであざみラインの坂道に路駐させられたのだが、今回は無事に駐車場へ停めることができ、登山開始予定の11時くらいまでフラットな場所で仮眠を取ることができた。
それでも気分が高まっているのと晴天で車内の温度がドンドン上昇するのとで思ったほど眠ることができない。窓の外を見ると富士山をバックに鹿が遊んでいた。
あまり寝ることの出来ないままゴソゴソと早めに身支度を整えてしまったがまだ10時前、須走五合目の山小屋「菊屋」さんで早めのランチにする。オイは山菜そばをいただいたのだがこれがとても美味しかった。
この時間になるとオイたちと同じようにこれから山に登ろうとしている人たちと、山から下りて来られた人たちで賑やかになる。菊屋の女将さんも右に左に大忙しだ。
午前10時半過ぎ、菊屋のみなさんにお見送りされていよいよ登山開始。ついにこれから日本一の山を登るということでみんなのペースが早い。これから今日は八合目までの道のりなんだからそんなに急がなくてもいいですよ~。
ちょっと気を許すとみんなアスリートだわ、黙々とペースをあげて登ろうとするのでトレイルの幅を一杯に使ってジグザグに歩いたり、肺の中の空気を総入れ替えするくらい大きな深呼吸をしてみたり、高山病予防を兼ねてかなりゆっくりと高度を稼いでいった。
そして5時間かけて八合目にある本日のお宿の「江戸屋」さんに到着する。この江戸屋さんには2年前にもお世話になっているので懐かしい。そのときと同じおじさんやお兄さんの顔ぶれだ。今回もまたお世話になります。
そして晩御飯は前回と同じカレーライス!さらに2年前と同じようにビールを買ってここまで無事に来れたことを祝いお疲れさん!!
みんなそれなりに疲れていたのか、それとも外がかなり冷えてきたから動きたくなくなったのか、晩御飯を食べたらみんな就寝準備をはじめる。今回は御来光を頂上で見ようということなので深夜1時くらいには起きなくてはならない。なのでそれまでにしっかりと寝て身体を休めておかなきゃいけない!おやすみなさ~い。
ゴソゴソ…ゲホゲホ……スゴッ…スゴーーイノッ…グハァッ
寝よう寝ようと思ったが周りの騒音であまり寝ることができなかった。まだまだ未熟だなぁ。
熟睡できないまま日が変わり、頂上で御来光を見ようとするお客さんが起きて用意を始める。オイたちも起床して準備する。江戸屋さんから朝食のお弁当をいただいて出発する。少し歩いて本八合目まで行くと吉田口コースと一緒になり登山者の数が一気に増える。
ココから先はほとんど一列になってぞろぞろと登っていく。バスツアーで登りにきてる団体の後ろを歩いていると何だかオイたちもバスツアー客みたいな錯角に陥る。それにしても本当に大人気なんだなぁ富士山って。
こちらが休憩すると抜いていく登山者がこちらが登っていると休憩している。抜きつ抜かれつ状態な訳で、頂上まで登る間に自分たちの周りにいる登山者の顔や様子が分かってくる。
そして3時半くらいに無事に須走口頂上の久須志神社に着いた。気温は低く、それ以上に風が強い。日の出までの間とりあえず風の当たらない場所を探して待機することにした。ちょうど山小屋の物置の壁で風をかわせそうなところを見つけたのでみんなでそこに身を潜める。
それでも物置を風が巻いてきて激しく当たるときがあり、かなりな寒さを感じた。このときバックパックに付けていたおもちゃの温度計は2~3度というところだった。それに加えこの強風だと体感温度は間違いなく氷点下だ。みんなありったけの服を着こんでさらにオイの持ってきたエマージェンシーシートとツェルトに包まり寒さを防いだ。
薄っすらと空は明るくなりはじめているが日の出までまだ1時間近くある。
みんなで寒さを凌いでいる中、女の人の泣き声と男の人の怒鳴っている声が聞こえてきた。最初全く様子が掴めなかったが、次第に誰が怒鳴っていて誰が泣いているのかが分かった。
泣いているのは外国人の女性。その女性を旦那(彼氏?)が抱くようにしている。
登ってくるときに何回か抜いたり抜かれたりしたので見覚えのあるカップルだった。とても軽装で小さいリュック一つだけの荷物でポケットに手を入れて足早で登っていたのを覚えている。
登っているときは動いているのでまだ暖かかったのだろうが、頂上に着いて止まってしまうと低い気温と強風で寒くて耐えれなくなってしまったのだろう。
一方で怒鳴っているのはオイたちと外国人のカップルの間で地面にツェルトに包まって寝ている男性だった。雰囲気ではどうやらビバーク訓練をしてる人っぽい。
男性は泣いている声が聞こえたので心配してのことだと思うが、大きな声で怒鳴りながら「どうしたんだ!?大丈夫なのか!?パーティーはいるのか!?装備はあるのか!?」などと言っている。
何で外国の人に日本語で怒鳴っているんだろうと疑問に感じたが、その男性は一切ツェルトから顔を出して様子を伺うこともなく、篭ったままの状態でただ泣き声が聞こえるのでどうしたんだと怒鳴っているだけだということが分かった。
ナゼそんな心配しているならちゃんと確認して助けてやらないのか??この男性のとってる行動に少しばかり腹が立った。
オイの装備の中にダウンジャケットがあり、オイ自身ダウンを着なくても日の出まで大丈夫な感じだったので、寒さで泣いてた外国人女性に貸してあげた。そして持って上がった白湯を飲ませてあげると外国人のカップルも少し笑顔になり元気を取り戻した様子だった。
日の出まであと少し。
2010年7月11日の朝がやってきた。雲が多いがそれでもしっかりと御来光をが見ることができた。周りにいるみんなもすごくいい笑顔だった。ホントhappy!!!
外国人カップルがダウンの返却にやってきた。そして笑顔で「Danke schoen!」と言ってくれた。ドイツの方だったのね。次山に来るときはも少し装備していったほうがいいよ~!
さあ頂上で御来光も拝んだことだし残すは日本一高い場所3776m地点の剣ヶ峰だけだ。
日が明けても頂上は相変わらずの強風。モロに風に当たると身体が飛ばされそうになるので耐風姿勢をとりながら進む。
御殿場口・富士宮口の頂上にある郵便局で葉書を書いたりそれなりに楽しみながらいよいよ最後の登り「馬の背」を登る。少し登るだけで息切れするがあと少しということでメンバーみんな元気だ。
そしてついにteam yellooooooow登山部4人全員が富士山頂上剣ヶ峰に到達する。誰一人途中でリタイヤすることがなかったので良かった。そしてみんな晴れやかな顔だ。
そのままお鉢巡りをしようと思っていたが、剣ヶ峰の下辺りから雪が残っていて、まだお鉢巡りが出来ない状態だった。無理やり雪の上を歩いて渡っている人もいたが万が一滑って落ちたら大事になるので今回は来た道を再び戻る。
そろそろ朝食をと思ったが頂上は風が強くてなかなか良い場所を見つけることができなかったので、少し下山して八合目辺りの風が弱くなったところで食べることにした。
どうせ八合目まで戻って朝食にするならわざわざお弁当を今朝持って上がらなくても良かったのに…。それでも頂上じゃ風が強くて落ち着いて食べれなかっただろうし、八合目まで下りてきて山小屋のベンチに腰掛けて落ち着いて食べるのは正解だった。
下りは一歩足を出せば二歩分も三歩分も勝手に滑り下りていってくれるのでしっかりとバランスさえ取れば楽にしかも早く下りることができる。それでもさすがにみんな疲れて足にきているのか思うようには滑り下りれず、一歩一歩を確実に踏み出して下りていく。
下りは3時間ほどで午前9時45分頃みんな揃って下山!!五合目にある山小屋でみんなしてソフトクリームをペロペロ食べる。とても甘くて疲れが癒されてめちゃ幸せなひと時だ。
さっきまで山頂にいて寒い寒いと連呼していたのがウソの様だった。やっぱり富士山はでっかいなぁ。
そのまま2年前と同じ御殿場市温泉会館で入浴してサッパリと汗を流し岡山へと車を走らす。疲れているにもかかわらずみんなで交代しながら運転して夜の8時には岡山まで戻ってきた!みんな運転もアスリートだわw