(5:20)
まず向かうは野田ヶ山。ちゃんとした登山道なのにトレイルには倒木や笹がかなり多くて少しテンション下がる。
それでも昨日登ってきた矢筈ヶ山から朝日が覗いて再びテンション上がる!
30分ほど登っていると次第にお腹が痛くなってくる。朝のお通じの時間だ。なぜもう30分早く、小屋を出る前にお前はやってこなかったんだ…。
最初はまだ我慢できたが、徐々に強くなって襲ってくるお腹の痛みに再びテンション下がる。
もう少し、もう少しと戦ってみたが、どうにも耐えることが出来ずにちょっとトレイルから外れることにした。これが夏山登山道じゃないのがせめてもの救いだ。誰一人来やしない。
バックパックからトイレセットを取り出し、ハンディウォシュレットに水を入れる。そのまま藪に入り、ベストポジションを見つけると、トイレセットからミニスコップを出して穴を掘る。
朝日と向かい合わせでのハッピータイムに再々テンション上げ!!
この後の処理方法を書くと変体扱いされそうなのでまた今度?とするが、ハンディウォシュレットとアルコールジェルを駆使して無事成し遂げる。
今回このトイレセットを山では初めて使うこととなったが日ごろ行っていた訓練通りしっかりと仕事をしてくれた。
(6:27)
フレッシュな気分で野田ヶ山の頂上に立つ。バックパックに付けている温度計は20度を超えている。朝飯代わりに行動食をがっつく。
野田ヶ山からもしばらくは普通のトレイルが続いていたが、次第に悪路になっていった。
そしてこの先は本日一発目の難関の親指ピークだ。気合を入れよう。
電波入るので気合を入れてつぶやこう!
(7:06)
いよいよ親指ピークを目の前にして緊張が高まる。
一歩一歩慎重にヤセ尾根を進み、親指ピークに取り付く。
親指ピークは東側を巻いて通過する。
急な下りや登りににロープが架かっているが全て信用するのはとても怖い。
ロープ+灌木やら岩を持ってしっかりと安全を確保して少しずつ進む。
オイは今、この灌木1本に、この安山岩1つに助けられて生きている…。
オイの人生は、一生は色んなものや人や全てに助けられて成り立っているんだ…。
なんだかそんなことが頭の中をぐるぐる駆け巡る。
足は竦み、息することすら忘れてしまうほど緊張している状態の中でそんなことを考えてしまうからホント不思議。
無事に親指ピークを通過して、いま自分の来た道を振り返ってみる。まだ足が竦んでる。
親指ピークを通過した後も振子山頂上までは難所が続く。
何箇所もロープの架かる所をよじ登り、大きな岩のある振子山頂上へ立つ。
ついに大山を目の前にする。そして頂上の剣が峰へと続く自分の進む道がはっきりと見える。
振子山を過ぎてもまだ悪路は続いた。ヤセ尾根で北側は激しく崩壊して崖となっている。
一箇所トレイルが抜け落ちている所もあった。出来るだけ南側の灌木や草の生えているほうを慎重に歩く。
(8:23)
道標を過ぎ、尾根を登ると1550mの象ヶ鼻に着いた。
ここからはいよいよ最高峰剣ヶ峰へと続く大山の主稜線を歩くことになる。
夏山登山道の頂上である弥山から象ヶ鼻を結ぶ主稜線の縦走は危険とされ、弥山頂上には縦走禁止の看板とロープが張ってある。
オイもロープをくぐってまで行こうとは思わない。しかしこの象ヶ鼻側にはロープが張ってない。
ロープを張っていないということは進んでもいいということだろう。
そのリスクがどういったものかをしっかり考え一歩を踏み出すことにした。
(8:48)
1636m天狗ヶ峰頂上。
象ヶ鼻からこの天狗ヶ峰までの間はかなり危険だった。
右を見ても崖左を見ても崖、そして足を乗せる場所は靴の幅しかない。一歩踏み出せば小さい岩がカランカラン音を立てて谷底に転がって落ちる。
天狗ヶ峰から剣ヶ峰までの稜線。
それまでよりは少し楽。少し楽ってホント少しですが。。
右を見ても崖左を見ても崖は変わらないが足を乗せる場所が靴の幅+10cmくらいになった。
そう、そのくらい。。
(8:57)
1729m大山主峰剣ヶ峰頂上。ついにSea to Summit 1729m達成の瞬間。
あまりに山頂に相応しくない服装ですが、インナーはちゃんとハイテクで至って真面目です。
GW期間中ずっと晴れ続きだったので景色は少し霞んでいましたが、それでもとっても気持ちいい。ズルせず0mからここまで登りきることができた。ありがとー!!
日本海に転がってたあの丸く角の取れた石を1つ持ってくれば良かった…。
南側の斜面を覗くとひどく削られた尾根や一の沢・二の沢・三の沢と見える。
風も強くなく、本当に良い日にめぐり合えた。
さて、ここから果たしてどう行こう…。
来た道は結構危険だったし、すぐ見えるところに弥山の頂上があるので、このままラクダの背を越えて弥山まで行き主稜線の縦走をしてしまうか、それとも当初の計画通りに再び天狗ヶ山・象ヶ鼻と来た道を戻るか悩んだ。
悩んだときはやはり計画通り行動するのが賢い選択だろう。
しっかりと頂上を満喫したし、そろそろ下山にかかろうかと思っていると、弥山側からラクダの背を通りこちらへと向かってこられる方がいた。
その方がやってくるのを待ち、挨拶を交わしてラクダの背の状態を聞くとやはりかなり危険な状態だとのことだ。じゃあやはり元来た道を戻ることにしよう。
このやってきた方は毎月のように大山へ訪れて縦走をしているらしい。そしてこの方が言うにはここ2・3年で今年の銃走路は一番悪い状態だそうだ。
そう言って笑いながら下っていくので、オイもご一緒させてくださいとお願いする。
登りも危険だと思ったが下りは更に危険度が増す。しっかりと足元を確認して慎重に慎重に出来るだけ強い衝撃を与えないように下る。
(10:07)
ようやくの思いで主稜線を戻り上宝珠越えまで戻ってきた。人と話しながら下ると早いし楽しいし、何より安心感がある。
そしてここからは砂滑りとなるのだが…。
沢の上部から小岩がカランカランと音を立てて落ちてきてる。こぶしくらいの大きさの岩でも頭に当たったらヤバイぞ。
しばらく沢の上部を睨み、崩落がおさまったのを見計らい一気に安全なところまで滑り下りる。
スパッツを履いていないのでシューズに砂利が入りまくるが、そんなのいちいち気にしてられない。とにかく砂煙を上げながら全力で下りる。
無事に元谷まで下り、シューズに入った砂利を出す。
(10:54)
一緒に下山してきた方とは大神山神社で別れ、神社で今回の旅を無事成功させていただいたお礼をする。
そして大山寺にも行きここでもお礼をする。
ここまでくればオイの服装も馴染む。観光客に紛れてバス停に向かう。
次の米子行きのバスまではまだ1時間以上あるので、大山寺の参道に期間限定で出来てた誰も入っていない足湯に浸かる。
米子駅までのバス代700円、米子~赤碕間の電車代570円。