やっとの思いで
白石島海水浴場(yahoo mapにリンク)に戻ってきたときはすでに18時30分を越えていた。
もうほとんど海水浴客のいなくなった浜に上陸し、カヤックから荷物を降ろしキャンプの準備を始めた。
浜からは沈んで行く夕日と来るときに通った小山や弁天島という干潮時に陸続きになる島が見え、なかなか素敵なロケーションの場所である。
しかしここまで来るのにかなり余分な時間と体力を使ってしまった。
オイはテントを張って荷物をある程度片付けて急いで夕飯の支度を開始した。早くしないと日が暮れてしまう。
今日の夕飯は焼肉だ。やっぱりワイルドには肉は欠かせないと勝手に思い込んでいる。
1人焼肉の為に今回の焼肉セットはTrangiaのストームクッカーSにユニフレームのミニロースターという網をセットしたアルコールバーナー焼肉セットである。(後日"道具へ"でインプレを書きます)
焼肉+冷えたビール…最高に幸せです。
夕日も沈み、焼肉も食べ終わってビールも飲みつくしそして夜がきました。
テントに入って、今日の報告を父親にしようと携帯を見て愕然。。
圏外の文字…。
浜の前の海上は電波があったのに無念です。今日はずっと見えない敵と戦っている感じです。
まあ電話しなくてもいいかなとも思いましたが、やはり心配してたらいけないなと思い電波を探すことにしました。
最初はテントが見える範囲で電波がないかあちこち探しましたがどこも圏外でした。
浜で花火をしようと集まった高校生が携帯で友達と電話をしていました。他社は繋がるみたいです。オイの持っている携帯のエリアの狭さに泣けてきました。
仕方ないのでしぶしぶ町まで歩いて行くことにし、とぼとぼと10分くらい歩いていると携帯にメールの着信がありました。
やっと繋がった!!!
そのときは宝探しで宝をGETしたときのように嬉しかったです。
そしてやっと父親とパートナーに無事だという報告ができたのでした。
2日目の朝も最高の天気でした。旅館に泊まっていた家族たちが朝の釣りを楽しんでいました。
オイはお湯を沸かして朝飯のラーメンライスを作りながらストレッチをして自分の今日の体調を確認しました。右手にマメができていましたが、痛くてたまらない感じではないので大丈夫そうです。
朝飯を食べたら片付けをしていよいよ出発です。
海に出てすぐに弁天島があり、そこには弁天宮という神社があります。
オイは今日一日の安全を祈願してお参りをして沖に出ることにしました。
今日は昨日と反対側の島の西側に沿って漕いで行き、笠岡の神島外港まで帰る予定です。
沖はいきなりの航路で続けざまに2隻の貨物船が通って行きました。
それでもその後は大丈夫そうで沖の白石の灯台まで一気に漕いで渡った。
そしてそのまま小高島まで行き、さらに高島までたどり着いた。
高島の海岸沿いを漕いでいると岬の裏から渡し舟が勢いよく現れたが、その引き波にも慌てず落ち着いて対処することが出来て、昨日一日でかなり成長したなと思った。
途中ちょくちょく浜へ上陸して休んではまた進んで行くが暑さでかなり体力が消耗してしまう。
さすがにソフトクーラーに入れておいた保冷材も一日経つとその冷気はなくなってしまい、温くなったお水を幾度となく口に運んで行く。
高島から明地島・差出島と漕いで行くがなかなか進んでいる気がしない。潮の流れがあんまりないからなのか、オイの漕ぐ力がなくなってきたからなのかはわからない。
それでもゴールは近づいてくる。
差出島を越えて昼には神島外港に帰ってきた。
ワイルドなお盆になったのだろうか…。なんだか携帯の電波に振り回された旅だったなぁ。そう考えながら荷物を車に積み込んでいった。
それでも確かに日に焼けて赤黒くなった肌と、少しだけカヤックでの旅の経験値が増えたこと。さらに見知らぬ島で見たすばらしい景色はオイの心にしっかり焼き付いている。
これでまた明日からの仕事もしっかり頑張っていけるだろう。
帰りの車でマメのできた右手をかばいながらステアリングを握り、今度する旅は完全に携帯の通じないところでやったほうがもっと楽しめるのでないかなどと考えていた。そんな中ふと頭の中によぎったのは…
"盆 in the USA"
やっぱこれだ!次はアメリカしかねぇ!!オイの心の中でこのフレーズが流れ続けるのでした。(Bruce Springsteenファンの方本当すみません)