鉢伏山から氷ノ山まで続く稜線コースは一度は通ってみたいと思っていたコースだった。確か"ぶん回しコース"って言ったと思う。実際に通ってみると見晴らしも良くて想像していたとおりの気持ち良いコースだった。
ここから滑って下りたら面白そう。ここはまだゲレンデなんかな?。こっちも滑れるんじゃねぇ?なんて雪が積もったときの事を想像しながら楽しく走る。
そうこうしていると何だか足裏が擦れてる感じがする。あまり良い感じじゃない。
今回もシューズはvibram fivefingersのKSO trekで挑んでいた。
さすがに練習不足だったし林道の砂利道コースが多いので今回は靴下も履いて挑戦していたが、どうやらその靴下が合ってないようだ。
いつも愛用していたウーリーの靴下が透け透けになったので今回はクールマックス(化繊のヤツ)にしてみたがそれが失敗だったかな…。こういうときには早めの対処が肝心でしょと思い、トレイル脇にちょっとしたスペースを見つけ座り込んで足裏にワセリンを塗り塗りする。
そのままタラタラと走り氷ノ山山頂手前での仙谷コースを下る。鎖場もある急な沢筋のアドベンチャー的なルート。主催者側は何故このコースをチョイスしたんだろう。こんな下り走ることなんて出来んわ。前の人も後の人も面白いほどしりもちをつく。危険なのでボチボチと手も使って慎重に下る。
ゆっくりと下るが結局鎖場のところで大渋滞。のんびり行こうぜ先は長いんだ。
第一関門の"自然ふれあいの里"に到着したのは10時45分。制限時間が12時だったので1時間15分前の到着だった。おやおや大分スローペースだわ。
しかしそこでは美味しそうななめこ汁を振舞ってくれていたので2杯頂く。
トイレにも行って足の裏にワセリンを塗り直す。それでもまだ擦れている感じがあったのでちょっとテーピングで補強もした。ここから先は林道の砂利道コースとなる。
砂利道はやっぱり走れない。VFFだと足裏へ小石の突き上げがモロにくる。他の選手が履いているトレランシューズが羨ましく見えた。それでも足を前に出さないと先に進めないので抜き足差し足のような感じで頑張る。
全然スピードが出せないのでどんどん抜かれる。このままでは気持ちが萎えてしまうと思い、少し先を走っていた方に声をかけて話しながら一緒に走ることにする。
旅は道連れ~、みたいなそんな感じだ。
しばらく一緒に走っていたが徐々に離されてしまった。やはり砂利道は苦手やわ~。
リストコンピュータのGPSに目をやると現在40km地点。おや?確か第二関門は43km地点のはずだ。となればもう直ぐ林道も終わりか?頭の中で地図を思い出すがどう考えてもおかしい。
林道から扇ノ山の登山道に入るところにエイドがあってそこからトレイルを走って、それから山二つほど越えて…。。。ぜってぇあと3kmじゃねえだろ~!!
やっとの思いで林道を終えてトレイルに入る。コースは扇ノ山までは登らず途中で折れて大ヅッコ・小ヅッコと駆け抜ける。
この区間最高に気持ち良いブナ林だった。落ち葉に隠れた根っこにさえ気をつけていれば快適に走れた。ここの区間はまた走りに来たいと思えた。
しかも林道ではペースを上げて走ることができなかったので体力はかなり残っている。トレイルはフカフカの土でVFFでも走りやすいのでこの区間で幾らか選手を抜くことも出来た。
結局第二関門の"上山高原"には15時丁度に着いた。主催者側のコース図ではここで43kmとあったが、結局GPSでは49kmになっていた。いくら山間部でGPSの入りが悪くて距離が多少狂ったにしても6kmも誤差は起こらないだろう。
ここではコーンスープが振舞われるはずだったが既に売り切れ。給水できる水も無かった。一杯だけ温めのコーヒーを頂くことができた。
第二関門の足きりは16時だったのでまだ1時間ほど余裕があったが何だかこの先不安になってきた。ここまでで約50kmならゴールまでは実は100kmくらいあるんじゃないの??
ん~、深く考えてもしょうがない。とりあえず先に進もう。
ここからは長かったなぁ。ドロドロに泥濘んだトレイルを越えてアスファルトの道に出て、九十九折れの舗装路をただひたすら下っていく。もう歩いている選手も何人もいる。
途中に亀滝・鶴滝・お面ヶ滝ときれいな滝を見ることも出来たがひたすら延々と下りだった。
舗装路を下り終えるとこの大会の為に新たに作られたという特設トレイルにたどり着く。この時点で薄暗くなってきていたのでスタッフの人にヘッデンを点けることを勧められた。
この特設トレイルは見事だった。急坂・急斜面・渡渉・渡渉・急坂・細道トラバース…。ワンダフルとしか言えない。誰も走れない。
這うようにして登ってやっとの思いでエイドに着いた。ここからは下りらしい。下りは下りなのだがまたしても林道の砂利道。また走れんじゃないか~。
延々続く砂利道。夜道。またしても何人ものランナーに抜かれてしまうが仕方ない。しばらくすると後からランナーも来なくなり孤独となる。バックパックに付けていた耳障りだった熊鈴をこの時ばかりはチリンチリンと良く鳴るように工夫する。
相変わらず足裏に小石の突き上げが激しい。しかしこれだけ砂利道を走っていると少しずつだが突き上げの少なくなる足裏が痛くない走り方が身に付いてくるから不思議。
なるべく小石の無い路面のウイークポイントを目で追いかけてそこに足を置いていき、さらに膝を少し曲げて普段以上にクッションを使って足裏にかかる力を逃がすようにすることを覚えた。
おかげでこの区間の林道はペースは遅いながらも走りきることが出来た。
やっと民家が見えてアスファルトのコースになった時には既に20時過ぎ。第三関門の制限時間は21時だったので間に合うかどうか微妙な感じになってしまっていた。
舗装路を頑張って走り第三関門まで続く最後の登り約5.5kmに突入。
標高差は約470m。登りが5.5kmもあるんかい!
それでも最後まで諦めない。クレイジーに登り続けた。スタッフの人たちの応援が嬉しかった。しかし無常にも残り2kmほどの地点で21時を回った。全く第三関門は見えなかった。
第三関門の"美方高原自然の家"に着いたのは21時20分。制限時間を20分オーバーしていてここで足きりになった。悔しいが仕方ない。夢の続きは次回へ持ち越しとなった。
コース図では72km地点となっているがGPSでは84kmになっていた。
スタッフの方にVFFを指差されて、これで走ったん??って驚かれ、沢山残っているからどうぞと温かいスープを3杯もちょうだいした。
迎えのバスが来るまで小屋で暖を取っていてくださいと案内されて小屋へ向かうが身体が痛い。全身ピキッピキッだ。ついさっきまであれだけ走って登れていたのに今は小屋まで歩くことすらままならない。
迎えのバスが来てそれに乗り込みスタート地点の兎和野高原野外教育センターまで戻り、ボロボロの身体でセンター内にあるお風呂へ入る。
脱衣所でも風呂の中でも選手のみんなのきつかったとの声が聞こえてきた。どうやらこの大会は他の大会と比べてもハードだった様だ。オイはもう少し計算して走れば完走出来ると手ごたえを感じていたので少し自信になった。
風呂から出るとゴールの制限時間24時の15分前。ギリギリ制限時間内にフィニッシュできる選手達が帰ってきていた。
最後の1人の選手がゴールしたのを見て再び悔しさが込み上げてきた。
第三関門(オフィシャル72km地点)制限時間オーバーによりリタイア
実測距離 84.06km
タイム 15時間21分56秒
今回のコースをGarminコネクトで公開→
コチラ